お昼時 鼻歌混じりで、みらいくんは暖簾をかきわけて入ってきた
「おばちゃ〜ん。肉うど〜ん」
みらいくんは毎日この食堂を利用してる
みらいくんが何故みらいくんと呼ばれているかというと
彼は未来からやってきたのだが、時間旅行法に違反して
時間流しの刑としてしばらくこの時代に取り残されることになったという
本人の言い分に基づく。
そういうわけでみらいくんはコツコツと町工場で仕事をして
未来人が迎えに来る日を待っているそうだ
どういうわけか町工場の工場長はそんなみらいくんに仕事を与え
アパートまで面倒みてあげたのだから
回りの人はきっと未来からきた保護観察者なのだと
実しやかに噂した。
そんな みらいくんがある日
2本のアンテナがついたヘルメットをかぶって食堂に現れた
ようやく赦免となり未来に帰れるという
そんなこんなで、その夜は貸切となりみらいくんの送別会となった
最後に百恵ちゃんを熱唱した彼は
下町のみんなにお礼をいって終電間際の国電で帰っていった。
春になってそんな町工場に新入りがはいった
どことなくその男も浮世離れしている
「おめぇ どんな罪でここに流された?」
が彼に問いかけるみんなのあいさつになった。