その日は肌寒く鉛色の雲が空を覆っていた 日本青年館に入ったのはそれが最初で最後だった 外苑のイチョウはとっくに葉を落とし開演までの時間を彼はひとり、ぼんやりと過ごした。 人々は徐々に静かに集いはじめ、開演前にそれぞれの指定席を目指した。 彼も…
日曜日の朝、大きなケースを持って叔父は彼の部屋にやってきた 子供のころからよく遊んでくれた兄のような存在だ。 気さくに叔父は高校合格の祝いだと大きなケースからギターを取り出して 自分が使ってたものだが、悪いものではないと彼に手渡した。 中学の…
引用をストックしました
引用するにはまずログインしてください
引用をストックできませんでした。再度お試しください
限定公開記事のため引用できません。