2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧
パイロットは少し北側のコースをとった彼にとっては珍しいことだふと隣席の後輩は顔をあげたちょうどこの時間なのだ夏の夜海辺の大きな遊園地では花火があがる 少しだけ見て飛行機は滑走路へ 静かに降りた。
あれほど欲しがっていたものなのにいざ手に入るととたんに冷めてしまうだから 永遠に手に入らないものこそが一番大切なのかもしれないほんとは そうじゃないんだけど。
宇宙は空のはるか彼方に広がる天体だけではない。銀河の渦の端っこにある太陽系の中に浮かぶ小さな青い星に住む彼もまた一つの宇宙の存在であることにかわりはない。 宇宙は外にもあり、内にもある。 禅のように。
人生にタイトルをつけろと、そういう意味で墓標がある。
朝、ラジオ体操に行くと スタンプを押してくれる。夏休みの子供のノルマみたいなものだった。たしか毎日続けると何かもらえるという 子供内の話になっていた。 ところが、彼は風邪で行けない日が何日かあった。 友達も結局、旅行とかで休んでしまった。あのとき毎日…
やや固めの椅子に腰掛けて、彼女は身を窓辺に移す。 加速を始めた列車は青い田園を進行する。 子供のころ遊んだ風景が思い出と交差して流れていく。 苦くて甘く。 どこかに逃げ出したくなるような青春だった。 何度も何度も走馬灯のように窓に現れては吹き飛…
竹藪の笹がさらさらと風になびく。 何度かここで彼は娘の帰りを待った。 今日は、明日はと。 幾度となく妻はそんな夫を迎えにここへ来る。 いつの間にか老いた二人の影が長く伸び、 鳥が高い空で鳴く。
コンピュータはデジタル処理の箱。 にもかかわらずメモリに入力されるのはアナログの塊出力されるのも同じ。 人がどんなにデジタルにあこがれても 結局、人はアナログの塊だから。しょうがない。
その匂いにも記憶がある 写真にすりこまれた思い出のように。 ただ視覚と異なるのが明確でないことだ、 そして、突然訪れるから構える手段がない。 いつの記憶だったのかとたぐりよせることもあれば 一瞬のその記憶と結びつくこともある。 3Dで画像を見せら…
もうすぐ 4時になる。それまでにこの仕事をきりあげないと、次の仕事に影響する。彼は15分のタイムリミットの中でうまく配分して仕事をかたづけ始める。 時を忘れて反復作業をこなし始めると 麻酔をかけられたような錯覚に陥る。 これは錯覚だと自分でいいきかせな…
彼女は5月が好きだった 4月の馬鹿騒ぎがすぎて、森の若葉がそろいはじめるころ ながれるせせらぎを子守唄に しずかに眠りにつきたいと思ってた。 小さなボートに身をまかせ 揺られながらそっと川を下る 透きとおる空の光は波紋を返し 小鳥のさえずりを遠くに聞…
萎びたジャズバーの奥で老いたピアノ弾きが 物憂げな旋律を奏でる。 とおりすぎた愛や恋が輝き始めるのは 二度と手にすることがないと きがついたとき。 その渦中にあって あれほど苦い思いをしたのに その苦ささえなつかしい... 古いピアノはそう歌っているよ…
窓の外は夜だった ばらまかれた無数の星屑は存在しているが瞬くことはなかった今の彼は何もすることがない。太陽の引力を振り切ってこうして慣性飛行に入ってしまった後は 母星から指令がくることもなくなった。 彼はもう何年もこうして星を見つづけている。…
記憶の中の5月は、鏡のような水田に植えられたばかりの短い種稲が風になびき、少し前にまとまって降った雨はごうごうと用水路に流れていく。 わたる青い匂いの風の中で、午后の授業の睡魔と闘っている。
煙草のいいところはなんとなく煙草をふかしていると間が取れるとこだ大人の世界では結構、これは重要なことなんだ。
彼は思った。。人生の中でロスタイムはどこから始まるのだろう。 人によっては2歳かもしれないし、98歳かもしれない。 寿命はそれぞれだし、人生もそれぞれなのだから ただロスタイムに気づいたとき、人はプレイが変るのかもしれない。 最後のホイッスルまでどうやって攻める…