電波の届かない場所

 

初夏の河川敷の堤防にて一人、

石段に腰掛け 紫煙を燻らす

 

子供たちの草野球をみている

投げれば暴投、当たればホームラン

ワーワーと声援が広がる

どちらもいい勝負

 

空青く ちょうどいい風がそよぐ

声を合わせて大学のカッター部の練習が続く

スーッと滑べるように船は進む

 

先程からひばりが 空高くチチチと鳴き続ける

姿は見えないが新しい季節を謳歌してるか

 

リンとベルを鳴らされて振り向くと

妻が息を切らして自転車で現れる

仕事先から電話が来たとスマホを渡される

 

苦笑いしながら礼を言ってスマホを見ると

圏外になっている

妻と二人乗りで家に戻る 春の午后。