アエロポスタルの飛行士

 

衛星からのビーコンは見当たらなかった

コクピットの中で彼は目的地近くを彷徨った
夕焼けはすでに山の向こうにある

 

電流計がゲージを切ると予備のバッテリー分しか
持たない。

少しでも電池を持たせようとパネルの輝度を落とした
翼に風を乗せようと少し高度を落とすと
微かに地上の電波を受信した

 

このあたりはマグネティックフィールドが濃く
あちこちでバーストしている

整流器が使えないからビーコンに頼るしかなかいのだが
電池不足が足をひっぱった

 

すでに回帰限界点は超えている
自己判断で高度を落としながら地形を確認するが
あてにならない

 

すると鳥の隊列の影が見えた!
彼はスロットルを絞りその影を捕まえようとした。
強い磁気嵐がアナログモニター画面を揺らす。

 

ググっと機体は左に旋回すると砂塵のなかに
小さなキャンプのランプを見つけた

彼は降下距離を保ちながら、滑空飛行に入った。