竹林が伸びる坂道を古いバスが登っていく
秋の夕陽を車体いっぱいに浴びながら
彼女は小さな家の庭の掃除を終えた
広い集めた枯葉に火をつけると
誰もいなくなった家で柱時計の鐘が鳴った
同じころ、表のバス停で一度停まったバスは
ギアを入れ替えて再び登りだす
エンジン音が遠くになっていくと
カラスが何羽か泣きながら里へ下る
燻りながら白い煙はオレンジの空間を
埋めていく
彼女は横髪を耳にかけて
途中まで読んだ文庫本を手に取ると
再び縁側に腰掛けて本の虫になる
しばらくはこのままで過ごす、
夕闇が訪れるときまで。