風の景色

やや固めの椅子に腰掛けて、彼女は身を窓辺に移す。
加速を始めた列車は青い田園を進行する。
 
子供のころ遊んだ風景が思い出と交差して流れていく。
苦くて甘く。 どこかに逃げ出したくなるような青春だった。
 
何度も何度も走馬灯のように窓に現れては吹き飛んでいく
風のように。レールの音とともに。警笛も高らかに。