宝石

萎びたジャズバーの奥で老いたピアノ弾きが
物憂げな旋律を奏でる。

 
とおりすぎた愛や恋が輝き始めるのは
二度と手にすることがないと
きがついたとき。

 
その渦中にあって
あれほど苦い思いをしたのに
その苦ささえなつかしい...

 
古いピアノはそう歌っているように聞こえた。