ねこ

妻が子猫を拾ってきた
まだ生まれて間もないのか
手の中でプルプルと震えている
 
吸い込まれそうな大きく青い瞳も
意思などはなかった
 
ただ一生懸命モノをみている
という感じで
 
この世界に生れ落ちたという
意味では猫の子も人の子も
同じなのだろう
 
そこから子猫の食べるもの
生活習慣、快適性を調べながら
二人はわが子のように子猫を育てた
 
子猫はおなかがすくと甘え
気ままに遊び、また眠った
 
すっかり猫中心の生活ができあがる
 
かしこい猫に育てようと学習プログラムを
はじめると元々素養があるのか
どんどん吸収し、自分で学習するまでにいたった
 
猫が自分で学習を始めるというのは
不思議なものだが実際に彼女は
猫が猫であるべき姿を学ぶようだった
 
しなやかな細身の肢体は
運動性を増し、しだいに彼女は
二人の前に現れる時間がすくなくなった
 
最近はもう名前を呼んでも彼女は
現れない
 
猫は猫らしく彼女は彼女らしく
自由に生きる