幽霊花火

布団に入って横になっていると
遠くでドンとなる音が聞こえた。
 
空耳だろうとスタンドを消して
眠ろうとするとまたドンとなる
 
少ししてパンという音も聞こえる
こんな遅くにと彼女はのそのそと起き上がり
カーテンを少し開いた
 
向こう町の川岸に淡い光の影が見える
あんなところで花火大会なんてあったかしらと
彼女は不思議に思ったが、
今度は青白い大輪が明らかに打ちあがったのを
彼女はしばし見とれていた。
 
次の朝、家族にそのことを話したが
誰もそんな花火はしらないという。
学校の教室でも、花火大会なんてなかったという
 
おかしいなと布団の中でもんもんと考えていると
またドンという音や今度は人の歓声まで
聞こえたような気がした。
 
なんだ今日も
花火大会やってるじゃんと、彼女は
カーテンを開いてみると、外は
 
雨だった。