彼がそのスイッチを押した後に
多くの罪無き人々の自由と幸せを奪うとしたら
彼はそれを押す前に気がつくべきだった。
何の疑問もなく、ラジオのスイッチを回すように
その変哲もないスイッチを彼は押しただけだった
そういう言い訳を彼はするだろう。
実際にその時の彼はそれ以上のことは考えていない。
消防士の彼が現場を訪れた時
茜に染まる夏空に心を奪われ
そして地上の光景に絶句した
向日葵畑に燻る機影に行き場のない気持ちが
胸いっぱいに広がる
そして彼は勇気を奮い起こして一歩を踏んだ。
その空はきっとスイッチを押した彼の頭上にも
繋がっていて、同じ雲が流れていくのだろう
彼がそのことに悔いているとしたら
戦争を終わらせることを
彼もまた勇気を奮い起こして
一歩を踏むべきだ。