それまでの彼にとっては無茶なことだと
思っていた
従来の固定概念では容易にことは進まず、
十分なネゴと準備が必要だった
それが大人のやりかたというものらしい
定型に拘わっていれば、槍玉にあがることもなく
あとで失敗したとしても。。
いや それでも彼は急がねばならなかった
そんなことを考えていること自体
意味がない
背丈まで伸びた草むらの道を
彼は走った
ややぬかるんだ道ではあったが
彼は気にせず走る
ツンと澄んだ月を背に
ザァ〜っと渡る風を耳に
彼は急ぐ
走りながら考える
答えが出るのを待っていては遅いのだ。