星の記憶

それは冬のせいではない

そのメロディは
誰ともなく、灰色の町角からあふれ始めた
 

それは雪のせいではない

そのメロディは
何処からともなく、人々の脳裏を思い起こさせる
 

それは孤独のせいではない

共通した記憶などあるわけもないのに
まるで自分の記憶のように並ぶ音符
 
甘美な旋律のそこに
自分の原点を見出そうとして

人々は集い、その歌をハミングすると

歌は町の壁を超え、高い山も広い海も超え
 
いつのまにか
星はそのメロディでいっぱいになった