静かの海

ふと素足を滑り込ませれば
小さな波紋は永遠に広がり続けるはずの
漆黒の海。
 
夜の闇に何が潜んでいるかは判らないから
余計に怖いはずなのに。
彼女の気持ちはそれ以上に穏やかだった
 
迎えの船を待ちわびて
夜空に上る青い月を仰ぎ見る
ヘルメット越しの遠い故郷。