2010-11-04 化身 冬の夜、ベッドの中から窓辺の影が気になって そっとカーテンの隙間から外をのぞくと 美しくりっぱな白鳥がしずかに佇んでいる。 月の光はあったものの、それ自身が光り輝いているようで しばらく彼は呆然とそれを眺めた。 やがて 凛と首をもたげ 凍てつく大空へ静かに羽ばたいて飛んでいってしまった。 おそらくあれは本当の白鳥ではないのだろうと 彼は子供ながらにそう思った。