化身

冬の夜、ベッドの中から窓辺の影が気になって
そっとカーテンの隙間から外をのぞくと
 
美しくりっぱな白鳥がしずかに佇んでいる。
 
月の光はあったものの、それ自身が光り輝いているようで
しばらく彼は呆然とそれを眺めた。
 
やがて
凛と首をもたげ
凍てつく大空へ静かに羽ばたいて飛んでいってしまった。
  

おそらくあれは本当の白鳥ではないのだろうと
彼は子供ながらにそう思った。