どうしても海に帰りたいと彼の妻は哀願した。
やせ細った彼女の傍らで彼は世界で一番哀しい顔をした。
「どうしてもかい?」やっとこのことで喉をふりしぼった
ちいさな子供はただオイオイ泣いているだけだった
「ごめんね」彼女は幼子の頭をなぜた
朝早く、彼女の亡骸を乗せた船はギコギコと沖合いを目指した。
彼は一人、彼女を抱きかかえると、そのまま一緒に海に飛び込もうとかと考えるも
漁村で待つ、幼子を思えば、彼は一緒に行けないことを詫びた
「また いつか 会いに行くから。。」
彼はそうつぶやくと彼女をそっと流した
妻は竜宮に帰っていった。