失速

その朝、
いつものように、彼は靴をはいて会社へ向かった
いつもの駅のいつもの場所で彼は地下鉄を待つ。
 
そしていつものドアから見慣れた景色の旅に入る。
 
はずだった、
しかし、足をすべらせて履いた革靴も、磨かれた駅の改札も
ドアにたたずむいつものOLも、窓から眺める風景も

同じはずなのに、彼には違和感があった。
 
変化は彼の中に生まれていた。