雨のメッセージ

雨の夜だった。

持ち主を亡くした携帯が鳴った。
この番号はもう誰も知らないはずなのに。

彼は少し驚き気味に電話に出た。
 

電話の向こうで
「留守電に入れてもらったみたいですが、番号間違ってるみたいです」
と親切に女は伝えてくれた。

「留守電?」
彼は聞き返した、
この電話から発せられたメッセージが自分の留守電に残っていると
彼女は訴える。
 
彼は詫びて電話を切った。
 
その留守電がどういうものか聞かなかったが
雨の夜はそういうことがあるのかもしれないと彼は思った。