近所の遊園地におばけ屋敷ができた
夏休みに入ったばかりの週末
彼女を誘って出かけた
仰々しい看板は子供騙しかと
笑いながら入場券を買ったが
彼女の様子が少しおかしい
入場口から通路を巡りながら
最初のドアを開いた
漆黒の闇かと思ったが蛍のような
淡い光が奥で舞っている
外気と遮断されているのか
音もなく空気も変わったようだ
奥に行こうとすると
彼女は行きたくないと言う
もう十分だというので
彼は諦めて非常口を探した
おばけ屋敷なのにおばけいないなぁ
と彼女に語りかけると
後ろで彼女はメェーと鳴いた
振り返ると山羊の彼女は
ここにいるよ
と言った。