ピザの箱


仕事場から家に帰ると井戸の近くに

ピザの箱が置いてある


なんだこれは?

中味は厚紙に野花を乗せてピザを模した

ものだった。子供のイタズラかと

彼は苦笑した。


しかし翌日も翌々日もピザは届けられた。

かかぁもきみが悪いと嫌がったので

親方に休みをもらって非番に

してもらった。


納屋の隙間から見張っていると

これが疲れた。眠気と闘いながら

夕焼け前にピザを抱えた子狐がやってきた

こら狐 なぜこんな悪戯をする

納屋から飛び出すと子狐は驚いて

固まってしまった。


悪戯ではなく、ピザの配達です

後ろから声が聞こえたので振り返ると

農家のおっかさんが立っていた。


ほらよくご覧なさい。

そう言われて再び見ると狐だった

子供は本物のピザを持っていた。


今ならキャンペーン中です。

おっかさんは子供を連れて夕焼け雲を

背に帰っていった。


狐の親子が消えてもピザは暖かい

本物のピザだった。

いやいやキャンペーン中って言われても


そうでしょ?

そりゃそうだ。