余命二時間

 

休日の朝 彼は簡単な朝食をとった後
二階のベランダで煙草を吸いながら
ふと余命が2時間だったら何を
しようかと考えた
普通は余命といえば一年とか半年くらい
の時間があり心身の整理もつくことだろうが。
誰かに相談しても自分のことだし
食事は取ったばかりだし
外は雨だし
ボーッとしてても時は流れる

 

庭の紫陽花は六月の雨にうたれて
瑞々しさを保っている。
まぁ しょうがないと

 

シャワーを浴び 体を洗い
髭を剃って 洗濯された服を着て
ドライヤーで髪型を整えて
歯を磨いていると

 

何処か行くの?と
家内が不思議そうに居間から
声をかける

 

ああ ちょっとと
いいながら階段を上り
ベランダで2本目の煙草に火をつけると
雨は小降りになった。
夏は近い。