Dawn Valley


古い岩に這い蹲るように苔が広がる
手入れのない庭は
すでに体をなさずそこにあり
 
おぼろな明かりは
有機と無機の境目をなくしながら
ただ淡い影をおとす
 
若きころは山の向こうの広がる海まで
幾度も足をはこんだのに
いまは一人
 
幾千の年月がすぎて
それでも再帰するという
約束がのこるなら
しずかに待つばかり
 
アポロの遺産と
待つばかり