ごねんかん

かなしみが一瞬だとしたら
さびしさは永遠なり
 
春のひだまりに
彼の白いシャツの背中に
顔をうずめた彼女も
 
乳飲み子を抱いて
泣くことも叫ぶことも
許されなかった彼も
 
さびしさとの
戦いだったかもしれない
 
こころに空いたブラックホール
すこしずつ小さくなったかもしれないが
消えることはないだろう
 
それでも
 
パラダイムシフトは起きたはずなのに
まだもとの世界へ戻ろうとする役人を横目に
 
オレンジに染まる夕焼けの
部屋で彼女の帰りを待つ彼も
 
秋風に吹かれてシリアスに
これからの自分と
向き合おうとする彼女も
 
みんな みんな
 
次の世界へ勇気をだして
足を踏み出している
 
さびしさは永遠だけど
前にすすむしか術はないからね。