少し早めに会社をふけた彼は
改札を通り抜けて
田園風景が広がる車窓を
ぼんやりと眺めていた。
車内は混み合うことなく
ゆったりと時間は流れて
隣の女学生は心地よく
まどろみの中にいる。
そんな平和な丘陵の向こうに
巨大な宇宙船のような
白いドームが忽然と現れた。
いつのまにこんなものが
できたのだろう
しばらく帰りが遅かった彼には
その近未来の景色が異様に思える。
きっと何年かたてば
このちぐはぐな風景も
見慣れたものになるのだろうか
と思っていると
次の駅にたどり着く
それにしても、
原っぱばかりのこの駅に
なぜ新幹線が停まるか
すべては未来に向けての準備
なのだろうと彼は思った。