2012-03-06 ひきしお 満ち足りた毎日の中で 何かがぼんやりと欠け始める 砂の城が波に浚われていくほど あっという間ではないが いつの間にかぼんやりと欠け始めている それは少しずつ汐が引いていくかの如く 彼の心のエンジンが減速していく みんな 帰りたがっている春の夕暮れ、岬の浜辺を散歩していると 誰かがそんなことを唱えた みんな 帰りたがっている静かに波は沖へと帰っていく みんなと帰ろう帰ろう 帰ろう