Re:call

おそるおそる彼女は細い右足を空中に浮かせた。
デジタルメータは恐るべき数字を示した。
と思いきや数字は昨日より一つ減っている。
彼女は鏡の前でほくそ笑えんだ。
昨夜は会社の同僚達と少し飲みすぎたかなと
反省の上でのことだったがなぜかラッキーにも減っていた。
 
『ま いっか。』
 
彼女はそのまま会社へ向かった。
 
次の日もまた次の日もなぜか彼女の体重は減り始めた。
見た目は変わらないように見えるが何か病気なのかもしれない。
少し体力をつけないといけないと
カロリーの高い食事をとってみたものの
やはり体重は減り続ける。
 
病を恐れた彼女は近くの町医者に行ってみるものの
至って健康ですと帰される。
 
おかしい、世の中では解決できない重い病に犯されてしまったのではないかと
ピザを一枚 平らげながら彼女は思った。
 
それでも体重は減り続け、極度のストレスが彼女を襲った。
食べなければ死ぬ。そんなことまで思い悩んだある日。
 
小包が届いた。
メーカーは製造不良により新しい体重計をお届けしますと。。。
 
おそるおそる彼女は象の右足を空中に浮かせた。
そして示された数字に軽いめまいを覚えた。