ノーザンスター出版社

東北のほうに小さな出版社がありました
学生時代にサークルとして地元の情報誌を作ったのが始まりだそうです。
そのころはそのまま仕事にするとは考えていない彼らでしたが
いつのまにかそれが本業になっていました。
 
地元の情報を取材して、校了を経て印刷・製本まで自分たちで
仲良くやっていました。
最初のころはそういう雑誌が人気となり忙しい状況でしたが
長い月日とともに一人去り、二人去りとして
最後は一人になってしまいました。
 
そういうわけで彼は出版社を閉めてしばらく旅に出ることにしました。

 
数年後のある春の日、
本屋の店先に彼らの新しい雑誌が並んでいるのを発見しました。
彼らはいつのまにかまた3人で出版社を再開したようです。
 
地元はその着飾らない彼らの雑誌を喜んで迎え入れました。
 
どういうわけかわかりませんが
しばらくしてまたその出版社は閉められてしまいました。
 
またいつかそっと店先に新しい本が並んでいるかもしれないと
地元の人々は待っているそうです。