雪椿

雪が降った朝のことです。
 
いつも通る通学路の垣根の向こうに
白い椿が咲いていました
 
少し雪に埋もれて開いた花は見事です。
 
そういえば卒業製作の題材が決まってません
これを描こう。そう思って、
彼女はそっと手袋のまま手を伸ばそうとしたのですが
 
 
やめました。

  
花びらにかかった雪をそっとはらい、少し微笑むと
そのまま黙って坂を下って行きました
 
ふわふわと いくつもの雪が舞い降りてくる
 
そんな朝の話です。