I stand at your gate

 

薔薇の香りがすると

朝靄の中でぼんやりと彼は思った

 

森の水分がそう思わせたのかも知れない

昨夜の世界の喧騒が

嘘のように今は皆眠り込んでいる

 

激しい時代は終わった。

嗅覚も聴覚も視覚も臭覚も

少しずつ衰えてホントの彼だけが

残る

 

有明の月が労を労うように

空にある。