2011-03-15 拡散と凝縮 その深い空に手を注ぎ うんと背を伸ばせば 彼女の影もうんと背を伸ばす 春の光は淡く輝き 彼の白いシャツの背中に戯れ 拡散しては凝縮する 潮の香りは二人の間をすりぬけて ときには出会いの言葉をたどり、ときには 別れの言葉をさぐる 時間だけが、ここに留まり、心の距離を静かに見つめる その雲が茜色に染まるとき 結ばれた指だけが それだけがすべての二人。